■
「冬を怖れた女」は『スカダーの恋』の話でもあった。
スカダーシリーズ後半のエレインとの恋愛の印象が強かったせいか、すっかり記憶から抜けていた。
依頼主の妻、ダイアナとの短い恋。
「あなたはアル中なの?」
「アル中ってなんだね?私はアル中と呼ばれてもおかしくないくらい飲んでる。でもそのせいで何もできなくなるというようなことはない。今のところはまだ。いずれはそうなるのだろうが」
「飲むのをやめられないの?あるいは飲む量を減らすとか」
「できると思うよ。理由があれば」
スカダーに初めてアル中であることを意識させ、
理由があればやめられるとスカダーに思わせたダイアナ。
でもそれはダイアナの夫の死で終わってしまった。
「私たちはまた会うかもしれない。それはわからない。が、会おうがあうまいが、何も変わりはしない。人間が物事を変えるんじゃない。時々物事が人間を変えるのさ。人間が物事を変えるんじゃない」
酒を飲みながらのこのスカダーのセリフは厭世的ですらある。