「冬を怖れた女」は『スカダーの恋』の話でもあった。


スカダーシリーズ後半のエレインとの恋愛の印象が強かったせいか、すっかり記憶から抜けていた。


依頼主の妻、ダイアナとの短い恋。


「あなたはアル中なの?」


「アル中ってなんだね?私はアル中と呼ばれてもおかしくないくらい飲んでる。でもそのせいで何もできなくなるというようなことはない。今のところはまだ。いずれはそうなるのだろうが」


「飲むのをやめられないの?あるいは飲む量を減らすとか」


「できると思うよ。理由があれば」



スカダーに初めてアル中であることを意識させ、


理由があればやめられるとスカダーに思わせたダイアナ。


でもそれはダイアナの夫の死で終わってしまった。


「私たちはまた会うかもしれない。それはわからない。が、会おうがあうまいが、何も変わりはしない。人間が物事を変えるんじゃない。時々物事が人間を変えるのさ。人間が物事を変えるんじゃない」


酒を飲みながらのこのスカダーのセリフは厭世的ですらある。