*[映画]復讐者に憐れみを

パク・チャヌク監督の復讐三部作の第1作、第2作の「オールド・ボーイ」より2年前の2002年の作品。よりスタイリッシュにより劇画チックに走った「オールドボーイ」より、こっちのほうは土着的で、肌にねっとりくる感じ。肌がザワザワする、毛穴を刺激される感じだろうか。

ちょっとしたタイミングのずれから、悲劇の連鎖が始まっていく。それがタイミングだけなのか、その時の選択の間違いなのか。だが、悲劇はとまらず、復讐が復讐を呼んでしまう。ここには15年間監禁されたのは何故なのかというような謎ときの面白さはないが、善良な姉想いの聴覚障害者のリュ(シン・ハギュン)と真面目に一生懸命生きてきたドンジン(ソン・ガンホ)がそれぞれ悲劇を招き、復讐に走ってしまう様がたたみかけるように描かれている。そのスピードとチャヌク独特の乾いた演出がある意味、みている私にとっては救いだった。二人とも共感すべき善良なキャラクターなのに、彼らの行動は決して共感すべきものでないと頭で考えているわけで、そのたたみかけるようなスピードこそが、共感する間を与えず、ラストまでひっぱって行ってくれたからだと思う。

シン・ハギュン、ソン・ガンホ、上手い!ペ・ドゥナ嬢もまた魅力的。悪気はないけど、悪いことをやらせてしまう女という役がぴったり。コケティッシュファム・ファタールな感じが。こんな役者、日本にいるかな?パトリシア・アークエットに近いかも。


ウォンビン」のではなく、「シン・ハギュン」の「ウリヒョン」が早く見たい!