「ゆれる」


香川照之、いいわ。相変わらず。
オダギリジョーを映画で見るのは実は初めてだったのだが、人気のあるわけがわかった。
この人の立ち姿や動きは日本人の枠を超えている。松田優作を思い出した。


実はもっとサスペンスがあるのかと思っていた。
嘘と真実。
起きたことと見たもの。


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弟が見たのは何だったのか。もっとサスペンスと心理の駆け引きで引っ張るのかと思ったが、意外にあっさりしているんで驚いた。演技は見ごたえあるし、脇役も押さえているんだが、何かがものたりない。


兄(香川)が何を思い、どういう意図でああいう行動にでたのか、裁判でついた嘘は何故なのか、そういうことを見ている観客には一切考える隙を与えないのだ。隙を与えないというよりも、微妙に考えるより先に進んでしまう「間(ま)」をとってしまうのだ。そこが物足りなさを見ていて感じる故なのかもしれない。それは弟(オダギリ)の行動にもいえることで、「兄を取り戻すために」兄を刑務所にぶち込むというという行動に、見ているほうは「え、何だって」と思っている間に、話が進んでいるという具合。無理やりひっぱられる感じ。


最後も実はよくわからない。
見ている我も何を望んでいいのかわからない。
だから「ゆれる」なのか。