『魂萌え』
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2005/04/21
- メディア: 単行本
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夫が急死。しかも死んだ夫には10年来の愛人がいた。
残されたのは専業主婦の敏子。
桐野夏生の主人公としては割りと地味である。
どちらかというと山田太一のドラマの主人公向きだ。
財産分与や同居を迫る子供たちの身勝手さに怒り、愛人の存在に怒り、夫に先立たれた自分のことはまだ夫のいる友達にはわからないわ、自分のことは誰も理解できないと嘆き、あがきながら、今の自分の不安は何なのかを探っていく。一人で老いていくことのの不安なのか、孤独なのかと。
そして、妻としてでもなく、母親としてでもなく、女ととして残りの人生をやりたいことをやっていくという敏子は、ちょっとやっぱり山田太一の匂いがするのだが、実は桐野夏生の小説というところが驚きだった。