「マルチュク通り残酷史」


教訓: 映画を見ずに判断するな。


DVDのジャケットの写真(学生服の男性集団)、苦手なクォン・サンウの主演で敬遠してきたが、それは間違っていた。

邦題は韓流を意識したような「マルチュク青春通り」だか、原題はマルチュク通り残酷史。どうせなら足して「マルチュク青春通り残酷史」というのが映画の中身をいいえているんじゃないかと思う。


1978年のカンナムで、時代はまだ軍事政権だったころ。


ブルース・リーが好きで、ブルース・リーが好きだという理由で友達になれた時代だとヒョンス(サンウ)の最初のナレーションでいっている。そういう理由で友達になったヒョンスとウシク。
ウシク(ジョンジン)には暴力が日常であり、喧嘩をすることに何の疑いも持たないやつだが、そんなウシクが結局は暴力に負けることで、学校を去っていく。
ヒョンスは適当に頭もよく音楽が好きで争いごとがいやで喧嘩もしないやつだが、それが暴力が日常の学校の閉塞感のなかで結局は暴力という手段をとるしかなくなっていく、そういう経過をガシガシと突きつけてくる。


最後の屋上での喧嘩のシーンにはブルース・リーの映画のシーンがどうしてもかぶってしまう。
その喧嘩の後、学校を退学して今は予備校に通うヒョンスが友人と見る映画はジャッキー・チェンだ。ヒョンスと友達のふたりが映画館の前でふざけるシーンで映画が終わる。


ブルース・リーからジャッキー・チェンに、
着実に時が流れていることもぐさぐさと見せつけてくる。
そんな残酷史。