「いつも旅のなか」


いつも旅のなか

いつも旅のなか


直接的な本の感想ではないが、実はこの本を読んで、私の旅行に対するコンプレックスがすこおし解消された。コンプレックスから解放されたというのが正直なところ。

仕事を休んで旅行するんだから旅はものすごく楽しいものでなくてはならない、とか、
観光名所はできるだけ周ったほうがいい、とか、
旅先の名物料理を食べなきゃ、とか、
旅先ではその土地の人々と交流しなきゃ、とか、
団体旅行より、一人で行くのがかっこいい、とか。
そんなこと。

そんな俗っぽいことが気になって、旅先で時々「私は今何パーセントくらい楽しんでいるんだろうか」ということを気にしている自分がいて、何かイヤーな気分というか、ブルーになるんだよね。
旅先でそれほど名所を見るきにならないことが多いし、なんかカフェでコーヒー飲みながら本を読んでいたいし、生臭い料理は嫌いだし、なんか無理して人と話すのも嫌だし、本当は団体旅行で楽したいのに何故だかいつも一人で旅している気がするし、本当は旅行より家にいたいのに。
本当は旅行なんであんまり好きじゃないのに、こんなこと思いながら人並みに旅行している自分に「それでもいいかも」と妙な自信さえ与えてくれた気がする。
(なんか、相田みつをみたいでいやだな)


角田光代さんの文章はからっとしていい。
多分小説よりもこの本を私は繰り返し読むと思う。