GO

GO (角川文庫)

GO (角川文庫)


ライブの間に湘南の風に吹かれながら私がしていたのは読書。
一気に読みきった。


何といっても主人公の杉原がかっこいいのだ。
かっこよすぎて、クサイと感じるほどかっこいい。
彼が葛藤している在日韓国人としてのアイデンティティの問題を忘れさせるくらいに。それに輪をかけてかっこいいのが杉原のアボジである。
越えられない父親と息子の闘い、というのが、恋愛の話よりも抜きん出ていた。
結局親父に敗北する夜の公園でのファイティングこそがクライマックスだと思う。


闘い終えた二人を見た後の母親の行動がまたおかしくて笑える。
父の息子への愛と母が息子ではなく夫へ向ける愛情がまたいい。
たとえ息子であっても「私の愛する夫に何するのよ」という愛情がね。


だけど、正一の死、彼にふりかかった悲劇のところでは「お前は何を読んでいるんだ」ということに気づかされる。我に返る。自分の知らなかった事実、この小説を読むことで知ったこと、これからも知ることになる事実はまだまだたくさんあるのだということに。


映画もみようと思う。

(杉原が「デッド・ソーン」が好きっているのがツボでした。なにせ私の10本の指にはいるほど好きな映画ですから)