毎年夏になると書店で平積みになっていて、いつかは読もうと思っていた。


「死んだ人がみたい」と小学6年生の3人組が近所の死にそうな老人を観察し始めるのだが、
見られたおじいさんは3人組の意に反して、どんどん元気になっていくのだ。
この設定を読んだだけでもわくわくする。


誰からも関心をもたれずにひっそりとコンビニの弁当でごみに埋もれるように生きていたおじいさんが、3人に関心をもたれることで、たとえその目的が自分の死であっても、元気を取り戻していく。そしておじいさんと少年たちには連帯感らしきものが芽生えていくのだ。この流れがとても自然だった。


少年3人は家庭ではそれぞれ問題を抱えているのだが、おじいさんと過ごすことで、それを乗り越える力、「術」を見につけていく。おじいさんからアドバイスされるのでもなく、大きな出来事があって問題が解決されるのでもなく、おじいちゃんと過ごしたひと夏のなかで、自然に乗り越える強さを身につけていく過程が最後までワクワク感を持続したままで描かれているのだ。


こんな夏の庭が持てたらいいねぇ、と思う。