「人のセックスを笑うな」と「乳と卵」

人のセックスを笑うな (河出文庫)

人のセックスを笑うな (河出文庫)


磯貝みるめ19歳と猪熊サユリ39歳の(愛)とセックス。この関係が恋愛なのかどうなのかどうもわからない。けれど、みるめが、オレの心が食い込むと、いうのだ。


「しかし恋してみると、形に好みなどないことがわかる。好きになると、その形に心が食い込む。そういうことだ。オレのファンタジーにぴったりな形があるわけではない。そこにある形に、オレの心が食い込むのだ」


それを愛というのだろうか。そういいながらもセックスの描写はいたって淡白で動作の描写しかないのがかなりいい感じである。だから妙な落ち着きがあり、最後の「会えなければ終わるなんて、そんなもんじゃないだろう」というみるめの言葉に強さと懐かしさを感じて、ああ、いいなあこの小説と思った。